仲良しの鶏

仲良しの鶏 B5

1. 海外における闘鶏と儀式の歴史

ニワトリの家畜化の始まりは、食料目的ではなく「闘鶏(とうけい)」や「宗教的儀式」でした。オスが持つ強い縄張り意識と闘争心は、古代人にとって神秘的であり、娯楽の対象となりました。インダス文明(紀元前2500年頃)の遺跡からは闘鶏用とみられる大型の骨が出土しており、これが地中海やヨーロッパ、中国へと伝播しました。また、暗闇を破り、夜明けに正確に鳴く姿は「太陽を呼ぶ神聖な鳥」として崇拝されました。古代ペルシャでは光の神の使者とされ、新年の儀式に用いられました。エジプトやギリシャ・ローマでも、戦意高揚の象徴や、生贄(いけにえ)として神に捧げる儀式的な役割を長く担っていました。

2. 日本への伝来と食用への変化

日本には弥生時代、稲作とともに中国大陸や朝鮮半島から伝来しました。しかし、日本では長らく食用とはされませんでした。日本神話(天岩戸隠れ)で太陽神を呼び出す役割を与えられたように、ニワトリは「時を告げる霊鳥」だったからです。さらに飛鳥時代に仏教が伝来すると、肉食禁止令が度々出され、鶏肉や卵を食べることは長年のタブー(禁忌)となりました。この状況が大きく変わったのは江戸時代です。闘鶏の流行や、海外からの南蛮菓子の流入(卵を使用するカステラなど)をきっかけに、まずは「卵」を食べる文化が庶民に広がりました。そして明治時代に入ると文明開化とともに肉食が解禁され、日本の鶏は「信仰の対象」から「重要な食材」へと完全に変化しました。

3. 近現代の産業と「地鶏」の価値

現代の養鶏産業は、短期間で育つ外国産の「ブロイラー」が主流(肉用鶏の9割以上)です。しかし、この大量生産型とは一線を画す日本独自の産業として「地鶏(じどり)」が存在します。地鶏は、日本在来の固有種(シャモやロードアイランドレッドなど)の血統が50%以上入っていることが国(JAS規格)で厳格に定められています。ブロイラーが約50日で出荷されるのに対し、地鶏は80日以上(長ければ150日以上)かけてじっくり育てられます。また、狭いケージではなく、1平米あたり10羽以下というゆったりとした環境で平飼いされます。これにより、運動量が増えて肉質が引き締まり、ブロイラーにはない「強い旨味と歯ごたえ」が生まれます。「比内地鶏」「名古屋コーチン」「さつま若しゃも」などはその代表で、効率重視 of 現代において、地域のブランド食材・伝統文化として高い商業価値を誇っています。

4. ニワトリの賢さ

「三歩歩けば忘れる」という俗説がありますが、近年の動物行動学により、ニワトリは非常に高い知能と認知能力を持つことが分かっています。まず、優れた社会的知性があります。ニワトリは集団の中で個体を識別し、明確な階層(つつき順位)を作って生活します。識別できる顔は100羽以上とされ、仲間だけでなく人間の顔も見分けることができます。また、約30種類以上の異なる「声(鳴き声)」を使い分け、天敵が「空から来る(タカなど)」か「地上から来る(キツネなど)」かによって警告音を変える、高度なコミュニケーションを行います。さらに、認知能力も驚異的です。生後わずか数日のヒヨコでも、目の前で隠された物(物体永続性)を頭の中で追うことができ、簡単な足し算や引き算の概念を理解しているという研究結果もあります。自制心(目先の小さな餌を我慢して、後からより多くの餌をもらう)や、仲間が痛がっている時に共感を示すような感情的な側面も確認されており、その賢さは犬やチンパンジーの特定の能力に匹敵すると言われています。

5.この絵画について

この鶏たちは、家の近くの仲睦まじい地鶏の雑種です。私の住む地域では、普通の民家でこうした光景がたまに見られます。低い柵しかなくても柵から出てしまっても、道路にはけして出ることなく、複数の雄鶏や雌鳥が、仲良く暮らしている光景を描きました。

B5 額入り