羽根を伸ばす途中の蚕蛾

羽根を伸ばす途中の蚕蛾についてと描いた理由
蚕の幼虫が蛹になる前には、繭を作るための糸を吐き出します。そこから絹が生産されます。野生の蚕もいて、それらから作られる糸もありますが、育てやすさや、生産性向上や品質維持のために、品種を改良したのが現在の蚕です。成虫には口もなく、餌を食べることは出来ず、大空を飛ぶこともありません。数日の命です。ましてや、絹糸を作るためには、成虫になる前に糸を取らなくてはならないため、生産の現場では、このような成虫になることはありません。最近では、学校や家庭での蚕の育成学習で育てたり、とても可愛いと、人気もあって成虫まで飼育する事もありますし、成虫になって繭に穴を空けて出てしまってからも、糸を取り短くなった糸を長く綺麗に形成する技術もあり、そういった製品もありますが、ほとんどの蚕は、成虫になることはありません。蛹は栄養価が高いので食材や飼料や健康食品などにも利用されています。現在は養蚕を行う小さな農家は激減し、大きな事業者や海外の繭の利用が増えましたが、長らく日本の経済や織物の文化をささえてきました。仕立てられる着物や洋服の魅力はその美しさだけでなく、繭の成分が人の肌に近く肌にとても優しいことで肌着や寝具、洗顔用品などにもなります。人々の心や生活を豊かにしてきた彼らを紹介したくなり、その運命を切ないなとも思いながらも、妖精みたいだな、と思い、蛹から孵って羽を伸ばそうとする瞬間の姿を描いてみました。実際は白色の蚕蛾ですが微妙な色の違いを見えたままに大げさに表現しました。蚕にまつわる作品は他にも描いていけたらと思います。
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